オレにとっての…
僕にとっての…
最大の好敵手は―――…
好敵手
「あの〜、いい加減にしませんか?」
思いっきりため息をついて、呆れたような視線をとある方向に向けた。
もう見慣れた京邸の一角で、これまた見慣れた光景が目に映っている。
「だから、アンタ何度言ったら分かるんだよ?」
「おや、これでも理解してるつもりですが?」
「分かってんなら、いい加減諦めろよ。しつこい男は嫌われるだけだぜ?」
「ですが、きみの言ってることは分かっても、納得してはいませんから」
ホント、いつも通りにヒノエくんが弁慶さんに突っ掛かってるのよね〜。
どうやら、私が何を言ってても全く聞こえてないご様子。
「ホント、毎度毎度…飽きない人達よね」
喧嘩するほど仲がいいって言うし。
この二人の場合、その典型的な例だとも思うけど。
そろそろいい加減にしてほしいかな、って思うんですよね。
「私、そろそろ飽きてるんですけど…」
やれやれと、仕方がないから縁側に腰を下ろして、二人が飽きてくれるまで待つことにした。
飽きてるなら、放っておけばいいじゃないかって思うけど。
出来ればそうしたいとも思いますけど。
そうできないから、ため息をつきたくなるわけでして。
このままじゃ、日が暮れちゃうんだけどなぁ…。
大体、九郎さんが約束を守ってくれれば、こんなことにはならなかたんだけど。
ちょっと、この場にいない人に怒りの矛先を向けた。
「あ、何だ。もう鍛錬終わっちゃったの?」
夜明け前、いつもより少し早めに起きて、私は景時さんの屋敷にお邪魔した。
とは言っても、まだ皆起きてないから無断でお邪魔したんだけどね〜(いいのか?)
迷わず向かった先は裏庭。
そこには思ったとおり、九郎さんがいたけれど。
予想に反して、どうやら彼は一汗掻いた後のようだった。
「何だ、か。どうした?今日はまだ夜明け前だろう?」
梶原邸、つまり京邸には、刀の修行や鍛錬をするにはもってこいの場所がある。
とは言っても裏庭の一部なんだけどね。
あまり大きな石もなければ、刀を振るうのに邪魔になりそうな木も植わっていない。
少しぐらい騒いでも、人に迷惑になることもない場所にあるし。
そこを九郎さんが朝の鍛錬をするために使用してるのを、私は知っていた。
「九郎さんの鍛錬に付き合おうかって思ったんだけど。遅かったみたい」
「俺の鍛錬に?珍しいな」
「そう?最近誰かと手合わせしてなかったし、たまにはいいかなって思って」
「そうなのか?悪い事をしたな」
「ううん、そんな事ないよ。約束してたわけじゃないしね〜」
気にしない気にしない、と笑ってみせる。
ここに来たのも、言うなれば思いつきだし。
それに、もし良かったらご一緒させていただこうかしら?って程度に思ってただけだからね。
「なんなら、今から手合わせするか?」
「んー、折角だけど遠慮しておくよ。私は構わないけど、九郎さんはちょっと休んだほうがいいでしょ?」
最近、京にも怨霊の数が増えてきていて。
白龍の神子と八葉の彼らは、日々忙しい毎日を送っていた。
封印してもキリがない状況だけど、それでも止めるわけにはいかないし。
「今日も怨霊退治に行くんでしょ?ちゃんと体、休めとかないともたないからね」
真面目で責任感の強い人だから、どうぜいつもみたいに鍛錬も相当ハードにやっただろうし。
休憩も大事ってことで、ちゃんと休んでもらいましょうかね。
「それはそうだが…」
「だから、私のことはいいって。またいつか付き合ってくれればいいし」
別に今すぐじゃないと駄目!ってことはないんだから。
一緒に行動してる間は、いつでも付き合ってもらえるんだし。
「明日はどうだ?」
「何が?」
暫く何か考えてた九郎さんが突然提案した。
それが一瞬何を指してるか分からなくて、聞き返してしまう。
「だから、明日なら一日付き合えると言ったんだ」
「え、でも怨霊退治の方は?」
まさか、休みとか言わないよね?
と思っていたら、どうやらそのまさからしい。
何でも望美が修行したいとかで、リズ先生と神泉苑に行くみたい。
で、封印できるのは残りは私だけだから、どうせならいっその事休みにして、全員ここ数日の疲れを癒そうって話になったわけだ。
「じゃあ、九郎さんさえよければ…お願いしようかな」
「ああ、構わない」
そんな感じで、修行に付き合ってもらう約束をしたんだけど…。
「遅い…」
いつまで経っても待ち人来ず。
約束は昼前だったにも関わらず、すでに日はかなり高く昇ってまして。
忙しかったり、用事ができたなら一言言ってくれればいいのに、それすらも無いから勝手に帰るわけにもいかなかったり。
「誰を待ってるんだい?姫君」
「え?って、ちょ…っ、な、何で!?」
背後から、気配を完璧に消し去って、ヒョイっと顔を覗かせたのはヒノエくんで。
彼も景時さんの屋敷でお世話になってるんだから、居たって不思議じゃないんだけど、思わず驚いてしまう。
っていうか、気配!気配を消さないで…っ。
「別に不思議じゃないと思うけど?オレもここで世話になってるわけだしね」
「あ〜…はい、そうですね」
ふふっと笑われて。
しかも思ってた通り、ばっちり指摘されてしまった。
これが結構悔しかったりするんだけど。
それでも言い返したところで、勝てる気がしない。
「それで、一体誰を待ってるんだい?もしかして…」
「断じて弁慶さんじゃないから」
ヒノエくんが軽く眉を寄せたから、何となく彼が誰を予想してるかが分かった。
彼の口からその名前が出る前に、一応否定しておく。
「それならいいけどね…。そうだ、。今日は暇かい?」
「それがね、いまいちよく分からないんだよね〜」
「分からない?」
暇かと聞かれたら、普通は『暇』か『暇じゃない』のどちらかを答える。
それなのに、分からないときたから、ヒノエくんも不思議そうな顔をした。
「誰かを待ってるみたいだし、暇じゃないって答えなら分かるけど…。分からないって答えは、答えになってない気がするんだけど?」
「ううん、これで合ってるよ」
暇と言えば暇、暇じゃないといえば暇じゃない。
それが一番ぴったりな表現だしね。
「実はね、九郎さんを待ってるんだけど。なかなか来なくて」
「九郎を?もしかして、修行か何かをするつもりだったのかい?」
「当たり。昼前に約束してたんだけど、結構待ちぼうけくらってるのよね」
だから、九郎さんが忙しくて無理って言うなら、今から暇だし。
そうじゃないっていうなら、暇じゃないってこと。
って言ったら、ヒノエくんは納得したようだった。
「そういうことか。それなら…」
「僕が付き合いましょうか?」
ヒノエくんの言葉を遮ったのは、弁慶さんだった。
いつの間にいたのか分からないけど、言葉から察するに結構前から居たみたい。
あらー、ヒノエくんがすっごく嫌そうな顔してるわね。
「いいんですか?弁慶さん、何か用事とかあるんじゃ…」
「いえ、特にはないですよ」
このまま何もしないで待ってるより、誰かに付き合ってもらいながらの方が、時間を無駄にしなくて済むからなぁ。
折角、弁慶さんが申し出てくれたんだし、お願いしようかな?
「それじゃあ…」
「ちょっと待った。弁慶、アンタ用事あるだろ?」
ものすごく不機嫌だと顔に書いて、ヒノエくんが弁慶さんに視線を向ける。
え?ってちょっと待って?
弁慶さんに用事があるって…、本人は用事は無いって言ったよね?
「景時がアンタを呼んでたはずだけど?」
「え!?それなら、ちゃんと景時さんのところに行かなきゃ駄目じゃないですか」
「ま、そういうことだからさ。にはオレが付き合うから、アンタは早く行きなよ」
勝ち誇ったような笑みをヒノエくんは浮かべた。
弁慶さんは一瞬驚いたような表情をしたものの、すぐに微笑んだ。
それも、かなり黒いオーラを漂わせて。
「僕にとっては、さんの方が優先ですから。それに、景時のところには九郎がいるから問題ないでしょうし」
うわぁ…景時さん可哀想…。
完璧に後回しにされてるっていうか、何と言うか。
ん…?
っていうか、今…。
「九郎さん、景時さんのところにいるんですか?」
「ええ、暫くは部屋から出てこないと思いますけど」
な…なんですって!?
一言の断りも無しに、約束すっぽかしたってことですか!?
やっぱりって思ったし、怒りがふつふつと込み上げてくるけれど。
景時さんのところにいるってことは、重要なことだろうから怒るわけにもいかず。
なんか、唖然というか…。
「アンタ、それでも源氏の軍師かよ。ちゃんと仕事しろよな」
「おや、きみにだけは言われたくありませんね。それを言うなら、ヒノエも帰って仕事をした方がいいんじゃありませんか?」
私が呆然としている間にも、二人の言い合いはヒートアップしていて。
弁慶さんは『何処』とは言わなかったけど、それは間違いなくヒノエくんに『熊野に帰れ』ってことだろう。
「オレはアンタと違って、毎日仕事してるけど?さしずめ、今はと一緒にいることだね」
確かに、私達と一緒にいて、戦況を見定めるのがヒノエくんの仕事だろうし。
言ってる事は間違ってないだろうけど、私と一緒にいることは、明らかに仕事じゃないよねぇ。
「ヒノエ、最近までさんを避けてたきみが、そんなことをよく言えますね?」
ふふっ、と弁慶さんは笑って。
その表情が、いつもより一段と意地悪そうに見えて。
最近忘れてたけれど、久々に弁慶さんの本性を垣間見るハメになりそうな、そんな気がした。
確かに、『に会いたくない』ってヒノエくんには避けられたけど。
それもすでに解決済みのことだし。
よくよく考えれば、それも私のせいだから仕方がなかったんだけどね。
「本当なら、きみは彼女に嫌われててもおかしくないでしょうね。さんの器の広さには感服しますよ」
「アンタが小さすぎるんじゃないのか?とにかく、アンタはさっさと景時のところに行けよ」
「きみも存外しつこいですね。しつこい男は嫌われる、以前そう言ってませんでしたか?」
「オレはアンタに嫌われたって、痛くもかゆくもないんでね。むしろ願ったりだけど?」
「ふふ、心配しなくても、僕はきみを嫌ったりしませんよ」
「アンタ、いい加減勘違いも程々にしろよな。誰が心配してるって言うんだよ」
「そうやって、素直じゃないところも可愛いんですけどね」
「ホントに、マジでやめろよ…」
うーん…何て言うか。
この会話を聞いてる限り、ヒノエくんは一生弁慶さんに勝てないような気がしないでもないんですが?
っていうか…ヒノエくんもいい加減、反応を楽しまれてる事に気づいたほうがいいと思うけどな。
あ、もしかして分かってても、叔父さんに構ってもらいたいとか?
そう考えると可愛いわ〜(激しく勘違い)
「だから、アンタ何度言ったら分かるんだよ?」
「おや、これでも理解してるつもりですが?」
「分かってんなら、いい加減諦めろよ。しつこい男は嫌われるだけだぜ?」
「ですが、きみの言ってることは分かっても、納得してはいませんから」
で、そんな感じで最初の状況になったわけでして。
何度『仕事が優先だろ』って言っても、弁慶さんが引かないから、ヒノエくんが痺れを切らした模様。
かれこれ、言い合いが始まって一刻はゆうに過ぎてるし。
ホントいい加減にしてほしいって願ってみるんだけど、誰も止めてくれる人もいないし。
何より、二人とも誰の声も聞こえてないからどうしようもなくて。
「きみの方こそ何度言ったら分かるんです?」
「何がだよ」
「僕にとっては、さんの修行に付き合う事の方が優先事項だと、何度も言ってるでしょう?」
「それこそ、納得できないね。大体、そろそろオレとの間に割り込むの、やめてくれないか?」
ヒノエくんは思いっきりため息をついて。
弁慶さんは心外だって顔をした。
「言っておくけど、アンタよりオレの方が、と出会ったのは先なんだけどね」
確かに、ヒノエくんと出会ったのは十年前。
弁慶さんとは七年前。
その差、三年間でヒノエくんの方が早いんだけど。
「おや、出会ったのはきみの方が早くても、付き合いは僕の方が長いですが?」
ってことになるわけでして。
何か、どんどん話がずれていってる気がしないでもない。
「僕から言わせてもらえば、きみの方が僕と彼女の間を邪魔してるんですが?」
どうやら、弁慶さんも多少ムカッときたのか、少し言葉がきつくなってる。
顔は相変わらず笑みを絶やしてないけれど、オーラが黒いなんてもんじゃない…っ。
っていうか、二人とも!
武器!武器を何で握ってるんですか!?
虎と龍の絵が目の前にある。
ホントに、この状況はまさしくそんな感じで。
そろそろ、血みどろの喧嘩になりそうな…。
「悪いですが、さんのをきみに渡す気はありませんよ」
「奇遇だね。ちょうどオレも同じ事を思ってたところだ。そろそろ、のこと諦めたらどうだよ」
「ふふ、相変わらず冗談が上手ですね」
「冗談?そういうアンタこそ、冗談が上手だよな。第一、年齢的にもオレの方がお似合いだと思うけど?」
「間違った認識は、将来困りますよ?年下のきみと、年上の僕。どちらが彼女にお似合いか、そんなこと考えるまでもないでしょう?」
そんな二人の様子を見ながら、実は本気で逃げたくなってる私。
だって…どう見たって、弁慶さんが…昔に激しく近くなってる気がするんだもの!
言葉は丁寧なままだけど、性格が曲がってた頃と同じ感じがするのですが!?
「まぁ、でもそろそろかな?」
いつまで経っても終わりそうにないし。
そろそろ、強制終了でもかけようかなと思って、縁側から腰を上げる。
別に特にやる事があるわけじゃないから、このまま見てても問題は無いんだけど。
飽きてるのも本音、そして何より、血みどろの喧嘩は見たくないしね?
でも、もっと言わせてもらえば。
仲良くするのはいいことだけど、私をそのダシにしないで欲しいってことなのよね。
「はい、そこまで!」
二人の間に割って入って。
右手でヒノエくんを、左手で弁慶さんを制する。
そんな私に、二人とも一瞬目を見張った。
「えーっと、二人とも、私の修行に付き合ってくれようとしてるわけですよね?」
確か、最初の論点はそこだったはずなんですが?
でも、弁慶さんは本当は用事があったとのことで、どんどん話がずれてったんだけど。
「ヒノエくんは用事が無い。弁慶さんは景時さんに呼ばれてる。間違いないですか?」
「ああ、そういうことになるね」
「そうですね。間違ってはないですよ」
未だ弁慶さんに睨みを効かせているヒノエくんに、それに雰囲気の笑ってない笑顔で対抗している弁慶さん。
二人に苦笑はしつつも、そのまま続ける。
「私に付き合ってくれるってことは、純粋に嬉しいんです」
それは本当に本音。
そのせいで誰かと言い合いになるなら、普通は私を放っておけばいいでしょ?
だって、それなら言い合いにもならないはずだし。
言い合ってまで、付き合ってくれようとしてるのは本当に嬉しい。
って、そもそも言い合うことが良い事かどうかは別として。
「一つお聞きしたいんですけど。弁慶さん、本当に景時さんのところに行かなくていいんですか?」
「ええ、構いませんよ。先ほども言ったように、景時のところには九郎がいますから」
僕と九郎が二人で聞かなくてはいけないほど、重要な話ではないですし。
と弁慶さんは微笑んで。
やっと、黒いオーラが多少なりとも収まった事に安心する。
「つまり、二人とも付き合えるってことですよね」
弁慶さんもヒノエくんも、時間はあるってことだし。
付き合ってくれる気はあるってことだから…。
「なら、二人まとめて相手をしてくれませんか?」
それが一番早い話だと思うのよね〜。
別にどちらか一人じゃないといけないってわけじゃないし。
二人とも、なかなか無い武器を使ってるから、私としてはどっちも手合わせしてみたい。
「…」
「さん…」
呆れたというよりは、気が抜けたという感じの二人。
「本気かい?」
「本気ですか?」
いやね、二人揃って同じ事聞かなくてもいいじゃない。
本気か?って聞かれれば、当然
「本気ですよ?」
って答えしかないんですけど。
何か文句がお有りでしょかね〜?
「二人同時に相手にしても、多分大丈夫ですから」
にっこりと笑って、そう言い放ってやる。
二人とも強いっていうのは分かってるから、本気でそんなこと思ってるわけじゃないけれど。
どうにも、少し仕返ししてやらないと気がすまなくて。
「ふふっ、本当に姫君には敵わないね…」
「さんがいいのなら、僕は構いませんが?」
「良かった。ヒノエくんは?」
「オレも構わないよ。姫君のご要望だからね」
「ですが…、さん?」
弁慶さんが、これでもかってくらいにっこりと笑って。
その笑みに本気で嫌な予感がした。
「僕がヒノエに攻撃した時は、止めないでくださいね?」
「は?」
私は、思いっきり呆けた声を出してしまった。
いや、予想してたことと違うことを言われたので。
だって、弁慶さんのことだから
『手合わせの最中は、背後に気をつけて下さいね?』とか、
『その自信が、いつまで続くか楽しみですね』とか言うかと思ったんだもの。
「えーっと…弁慶さんは、ヒノエくんと二人で私の相手をしてくれるんですよね?」
「ええ、そうですね」
「それなら、どうして弁慶さんがヒノエくんに武器を向けるんでしょうか?」
「ふふっ。決まってるじゃないですか」
弁慶さんの笑顔は、これ以上分かりきったことを聞くな、と言っていて。
本気で冷や汗が流れた。
「アンタがその気なら丁度いいぜ。オレもアンタに攻撃しても、文句はないってことだよな」
「おや、きみでは僕には勝てませんよ?」
っていうか、弁慶さんがヒノエくんに、ヒノエくんが弁慶さんに攻撃するとなると…
完全に私はその内カヤの外になりそうな気がするんですが?
呆然とすると同時に、ちょっとというか…かなりイラっときてしまった。
そんな時、実にタイミングよく廊下を歩いてくる人影が見えた。
あの着物、あの長い髪。
それは間違いなく、私の約束を無断で破ったお方で。
キョロキョロと、少し焦っている。
『あ』
私と目が合った瞬間に、九郎さんの口がそう発したのが分かった。
どうやら、少しは悪いと思ってるみたいですね。
無断で待ちぼうけをくらったし。
おかげで、朱雀組の喧嘩にも巻き込まれたし。
更には今日一日を無駄にするところだったわけですし?
ちょっとそれはいただけないけど。
だけど…実にナイスタイミングで現れてくれたことで、チャラにしてあげようかな、と思った。
「分かりました」
未だに笑顔で睨み合ってる二人に向き直って。
二人に負けないくらいの笑みを形作る。
「どうやら、私は邪魔みたいなんでお暇させていただきますね。どうやら九郎さんも来たみたいですし」
そんなに仲良くしたいっていうなら、二人っきりにしてあげようじゃないの。
だけど、それに付き合ってあげるほど、私はお人よしじゃないですよ?
発端は私だから、放っておくのも無責任だと思うけど。
ここまで付き合ったんだから、これ以上はさすがにこっちも我慢できないってわけで。
「それじゃ、失礼しますね?そうそう、一つ言っておきますけど」
私の言動についていけずに、きょとんとしている二人を、ちょっと可愛いな〜って思いながらも。
そんなこと微塵も感じさせないようにして。
「夫婦喧嘩は犬も喰わん。痴話喧嘩なら、今度は二人っきりでどーぞ?」
性格の悪さが浮き彫りになるような台詞を言い放って。
さっさと九郎さんの所に走っていく。
でも、ホント仲が良いって羨ましいわ〜、とちょっと微笑ましく思った。
「すまない、大分待たせてしまったな…」
「ホントに。でも、タイミングよく来てくれたから許してあげるよ」
「たいみんぐ…?」
「あんまり気にしないで。とにかく、あそこから助けてくれてありがと」
九郎のところに走っていった彼女は、僕達の方へ少しだけ顔を向けて。
さんの言葉を、どうやら九郎は分かっていなかったみたいだけれど。
「やっぱり、私には九郎さんが一番合ってるような気がする」
本当に嬉しそうに、さんは九郎に微笑んだ。
九郎の所へ走っていたは、本当に嬉しそうに微笑んでいて。
さっきまでオレたちに向けていた笑顔とは違った。
確かに、あんな言い合いを目の前でいつまでも見せられたんだから、不機嫌になったのも仕方がないけどね。
それでも、九郎に『気に入らない』と思ってしまった。
「やっぱり、私には九郎さんが一番合ってるような気がする」
そう言って、微笑んだは本当に綺麗で。
九郎はその意味も分かってなかったみたいだけれど、オレたちの方を見て表情を固めた。
横を見れば、弁慶がさっきよりも数倍黒い笑みを浮かべていて。
どうやら…オレと同じ事を考えてたみたいだね。
「ヒノエ」
「分かってるよ」
いつもより数段低めの声で、弁慶がオレの名前を呼んだ。
それに、オレもニッと微笑んで。
「「協同戦線と行こうか(行きましょうか)」」
オレにとっての…
僕にとっての…
最大の好敵手は―――…
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あとがき
雛さん、9999HITおめでとうございます!
そして、ここまで読んでくださってありがとうございました〜。
いかがでしたでしょうか?
本気で、真面目にリクに答えられてない一品になり、土下座で謝りたい気分でございます(汗)
しかも、遅くなってすみません…っ。
ヒノエと弁慶が、ヒロインを取り合う感じの。
とのリクでしたが、異様に九郎が出張ってしまったという…。
しかも、全員が性格悪すぎで…言い訳のしようがないですね(苦笑)
どうしても、シリアス・泥沼的にできなくて、あまり取り合ったって感じがなくなってしまいましたが…。
こんなのでよろしければ、もらってやってください〜。
今度ぜひ、リベンジさせていただきたいしだいです。
キリ番でなくて、拍手お礼用などのリクでも、何でもいいのでお待ちしてます(図々しい)
それでは、リクありがとうございました!
※雛様のみ、お持ち帰りOKとさせていただきます。